ポンコツ料理人
肉切れん
魚も切れんが
人参と
玉ねぎジャガイモ
まだ切れる
ああ、ズボラな主婦の包丁あるある
くそう!と舌打ちしながら鶏肉の皮と格闘する。ギコギコ、包丁を肉にこれでもかと押し付ける。もはや料理ではなく軽く日曜大工である。
私がよく使う包丁はIKEAブランドの小さいやつで 1000円以下のもの。他にもお祝いでもらった名前入りの大きくて高価そうな包丁もあるのだけれど、やっぱりこれが使い勝手と手の収まりが一番自分に合っている。いや、IKEAの包丁が切れないわけでは全く無い。お値段以上のパフォーマンスを発揮してくれていると感謝感激である。現に "これしか使ってないんじゃね??" ってくらい使っており、次もコレを買いたい!と思っている。
そう、全てズボラな私が悪いのだ。手入れを怠れば包丁に限らず何であろうと見た目や性能が鈍ってしまうのは当然の事。そう思いながらも、もうちょっとで切れそうーーーーとギコギコし続ける。しまいには鶏皮一枚で繋がった肉片を両手で鷲掴み、そして引きちぎるという荒業に出る。
が鶏皮、、、、恐るべし"弾力性と粘り強さ"である。
建築でもそうだが弾性と粘りというのは時にすごい強度を発揮するものだ。外壁の弾性塗料も目地部分や躯体にクラックが入っても切れない。外部からの水が入らない。鉄筋が錆びない。建物長持ちー!!建物の皮膚みたいなものか、と上手いこと例えたな!とか自画自賛しつつ妙に納得。人にも弾力性があった方が良いんだろうなーー臨機応変に対応して、逆境に立たされ外部からのストレス攻撃を喰らっても、グニャグニャでポヨンポヨンしていれば弾き返す事も出来る。大出血プシュー!!
ってことが回避できそう。なるほど、
目指すものは鶏皮人間……
想像すると何だか気持ち悪い…なんてしょうもない事を考えつつ
私はひたすら
鶏皮を鷲掴み
引きちぎる
引きちぎる
行為に専念していましたーーー
となぜか椎名林檎のモルヒネを替え歌ってしまった。陽気なように思えるが事態は深刻、やっぱり切れない。これでは夕食のクリームシチューが間に合わない。チビどもが騒ぎ出す前に手を打つべく、ため息交じりに引き出しの上段より研ぎ石を取り出す。濡れ布巾の上に置いて渋々研ぐ。そして研ぐ事2分でスゴイキレ味!おおおお!毎度この感覚には感嘆してしまう。
よく切れた!
これは良いわと
調子乗り
爪をざっくり
血が滲む
ああ、料理の腕前が微妙な主婦の嘆き
技術がないため良く切れる包丁はそれはそれで問題。あんまり切れないくらいが私には丁度いい。
そう、やっぱり肉は引きちぎるくらいが丁度よいかもしれない。