毎日いいなって思えたらいいな

読んで何となく心地よくなるようなブログ

たこ焼きが焼ける6分間のお話

近所の商店街に行きつけのたこ焼き屋さんがある。夕食の準備が面倒になり急遽たこ焼きになった。我が家ではよくある話である。美味しい窯焼きピザのお店や、皆んなが大好き餃子の王将ミスドマクド、つけ麺、寿司屋など徒歩五分圏内に色々充実しているということを言い訳にしておこう。

f:id:genyuri0420:20171017153738j:plain

 娘と2人でたこ焼きを買いに行った。

 

たこ焼きを買いに行くとなると必ずついてくる娘。ちょうど前のお客さんが終わったところですぐに注文出来た。『ソース20個、塩20個お願いします!』と言うとおっちゃんに『えええ⁉︎⁉︎40個も⁉︎』と驚かれる。そんなに驚くことだろうか?と疑問に思いながらもたこ焼きのプロに、しかも常連なのでこちらの家族構成も熟知した上でそんな事を言われたため自分の主張に自信がなくなってくる。父ちゃん20個、なっちゃん5個…私5個…くらいで良いのか。『じゃあ、、、30個で。えへへへへ』とすぐに自分の意見を曲げる。しかしなんて親切なんだろう。40個の方が明らかに売り上げも上がるだろう。それなのにわざわざ少ない個数を勧めてくれるなんて!親切すぎるやろ!!と心の中で感謝した。しかも焼き上がったたこ焼きが30個はあるにも関わらず新しく焼いてくれる、焼きたてを五歳の女の子に食べさせてあげようという優しさと心意気、やっぱり親切すぎるやろ!とまたもや心の中で感謝した。

娘と私はたこ焼きを焼くのを真剣に見ている。たこ焼きを焼くのってなんであんなに見ていられるのだろうか…。不思議である。焼きそばを焼くのはそんなに見ない。お好み焼きはひっくり返す時だけ見ているような気がする。寿司を握る、コロッケを揚げるのなんかは全く興味がない。形の無いものが形になっていくからかな?ドロドロの液体が最終的にはあんなに綺麗な丸になる。しかも何十個も綺麗に整列して…である。

『たこ焼き好きなん?』とおっちゃんが娘に聞く。『うん』と娘。ちょうどその時タコを入れ始めた。すると娘が『タコ入れるん⁉︎』と言い出す。おっちゃんはびっくりして『タコ入れへんかったらたこ焼きちゃうやんかーハハハー』と言った。全くもってその通りである。先ほどたこ焼きが大好きという会話をしたばかりなのにおっちゃんが混乱するのも当然だ。そう、娘はタコが嫌いなのである。でもたこ焼きは大好きなのだ、いや、あのまあるいフォルムと生地が好きなのだ。子供は丸くて沢山あるものに惹かれるようだ。例えばイクラ、屋台のスーパーボール、ミートボール、寺や神社の地面に敷き詰められている丸い玉砂利などである。そういう意味ではたこ焼きはかなり魅力的なのだ。そんなどうでもいい事をぼんやり考えていた。娘がおっちゃんに『おっちゃんもたこ焼きの食べるん?』と聞いた。するとおっちゃんは『おっちゃんたこ焼き食べへん。見るのも嫌や』と言った。そこは正直に言うんだなーと聞いていた。そう思いながらたこ焼き屋を営み続ける、大人の事情とは言え不憫である。『じゃあ何食べるん?』『カレー』そうなんや!と黙って聞いていた。

そうこうしている内にたこ焼きが完成。『1,080円ですー』その時は何も考えず『ありがとうーじゃあこれで』と5100円渡す。で4020円返ってきたときに『ん?』と思う。『あれ?間違ってません?』と私。『おまけしてるから』とサラッとおっちゃん。たこ焼き代がいくらになるのか全く把握せず注文したので最初は全く気づかなかったのだ。お釣りを受け取ったときに初めて『安ずぎやろ!!』と気付く。そして親切すぎるやろーおっちゃん。よくぞ気付いた、私。自分なら『オマケしといたでー』と恩着せがましく言ってしまいそうである。

 

たこ焼きを焼く間の6分間、沢山のさりげない親切と、娘とおっちゃんの心地よい世間話で何だかじんわり元気を頂いた。

 

横で娘はタコをほじくり返し父ちゃんのお皿にホイホイ放り込んで『タコ好きやろ!』と恩着せがましく言っている。少しはおっちゃんの謙虚さを見習って欲しいものだ。いや、この様に育てた私の謙虚さが足りなかったのかと苦笑した。

 

たこ焼きの中はトロトロふわふわでじんわりあったかい味だった。

 

 

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村